大西 竜治/新村 糧/野口 翔平 SAUNiiiK合同会社
事業計画より先に、「面白そう」があってもいい
「本格的なビジネスにするというよりは、『絶対、会社にしておいた方が面白そうだから』ぐらいのノリでした」と話すのはSAUNiiiK合同会社の大西さん。完成した事業計画よりも先にあったのは、3人でサウナを軸にした事業を面白く始めたいという思い。異なる専門性を持つ3人が、動きながら形にしてきた創業からの1年を聞きました。

01 原点
3人だからできる事業スタイル
翔平は設計ができるので、サウナ施設の設計から施工管理まで担当しています。僕や糧くんはWebやプロモーションの経験があるので、情報発信やグッズ制作もまとめて支援しています。
大西さん
施工や設計だけではなく、それをどう見せるか、どう伝えるかまで3人で考えられるのが、サウニークの強みだと思います。
野口さん
本格的なビジネスにするというよりは、「絶対、会社にしておいた方が面白そうだから」ぐらいのノリでした。1年目は、認知や知名度を上げることに絞って動こうと決めていました。最初によく言っていたのが「大人が全力で遊ぶ」。その姿を見せないと誰もついてこないだろうし、そもそも自分たちが楽しいことしかやりたくないよね、というところから始まっています。そうしているうちに、「サウニークっていう、サウナで何かやってる会社があるらしいね」ということを、一定の人に知ってもらえるようになりました。
大西さん
僕と翔平でサウナの事業をやろうと考えたとき、糧くんは絶対に必要な人だと思っていました。クリエイティブや制作、進行管理ができるし、サウナが好きという共通点もある。3人でやれば、それぞれの得意なことを持ち寄りながら、一緒に成長できると思ったんです。
大西さん
ありましたよ。その時の仕事がすごく忙しくて。フルコミットできないなら意味がないというか、逆に迷惑を掛けてしまうと思っていたので。
新村さん
正直、結構ゴリ押しで糧くんを誘いました。3人で立ち上げる会社って、1人で立ち上げるのとは全然違います。3人でやるって、僕の中では定石でもあって。だから「別にいてくれるだけでいいから、できる範囲で一緒にやろう」と伝えたんです。
大西さん
そう言ってもらえて、だいぶ楽になりました。不安が消えたわけではありませんが、それでも面白そうという好奇心の方が勝りましたね。
新村さん
3人だから安心できるし、それぞれの得意を生かしながらも負担を補い合える良さがあります。
野口さん
「やれる範囲でいいから」と言ったはずが、糧くんが誰よりも手を動かして、どんどん形にしていってくれました(笑)。
大西さん
正直、かなり自分の中にクリエイティブがたまっていました。メインの仕事はクライアントワークなので、お客さんの要望に応えるものをつくらなきゃいけません。自分のアイデアや世界観を好きにつくれることへの渇きがあったんです。個人のパソコンには、形にならなかったアイデアがずっと眠っていて。サウニークだと、それが全部、手触りのあるものに変えられる。それが面白かったですね。
新村さん

02 転機
仲間が生まれ、認知が広がり、事業の可能性が見えてきた
最初の鹿島のイベントですね。鹿島まで船で荷物を何度も運ぶ大変なイベントでしたが、ほぼ初対面のメンバーが本気で手伝ってくれて、そこから仲間の輪が広がっていきました。過去を振り返っても、多分一番大変だったイベントが1発目でした。
野口さん
3人以外の人たちが、想像以上に力を注いでくれて。あれが最初の成功体験でした。確かにあの大変さがあったから、後のイベントはそれよりも楽っていうのはあるかも。
大西さん
知名度という視点では、石手寺でのイベントを境に、周りの反応が大きく変わりました。
野口さん
テレビ局も2社が時間をかけて特集してくれました。石手寺のイベントをきっかけに、サウニークを知ってくれる人が一気に増えましたね。
大西さん

老舗和菓子店である小泉製菓さんとのコラボですね。熱心なサウナ好きだけじゃなく、ライトにサウナを楽しむ人に届けるには、異業種と組むのがいいのではないかという気づきから生まれた企画です。
新村さん
「サウナの会社です」と言っても、僕らは自分たちのサウナ施設を持っていません。だから、「サウナの会社って何をするの?」という状態だったんです。そこで生まれたのが「サ菓子」。サウナ後に食べたくなるお菓子、という意味で名付けた大判焼きです。企画として珍しく、お客様には斬新なコラボだったと思います。でも、それが高島屋の小泉製菓さんの店頭に並んだことも含めて、可能性を感じました。
大西さん
商品を一緒につくるだけではなく、プロモーションまでやり切れたことも大きかったです。企画だけでなく、「伝えるところまでできる会社なんだ」と知ってもらえたと思います。
新村さん

03 現在地
創業期の今だからこそ、自分たちの軸をつくる
正直、最初はここまで事業らしくなってくるとは思っていませんでした。ミッション、ビジョン、バリューも、最初はありませんでした。でも、やったことが一つずつ形になって、認知が伸びて、関わってくれる人が増えていった。そうすると、やらなければいけないことも増えてくるんですよね。
大西さん
僕たちはそれぞれ自分の会社や事業を持っていますが、3人のカレンダーが、どんどんサウニークの予定で埋まっています(笑)。
新村さん
マネタイズという部分以外は、やりたいと思ったことをわりと実現できてきましたよね。
野口さん
1年目は思い切って、認知や知名度を上げることに絞って動いてきました。1年経って、この状態をつくれたこと自体が財産だよね、という話は3人でよくしています。
大西さん
一番大きいのがサウナ遍路です。愛媛の温浴施設6施設と組んで、今年は参加者5000人を目標にしています。今は700人を超えたところです。
新村さん
それぞれ担当も決め始めています。外部を巻き込む企画が増えてきて、企画ごとにリーダーを立てる形にしました。
大西さん
正直、少数精鋭でやっている分、至らないところも結構ありました。施設さんからは期待されているのに、動けていない部分もあって。そこから、企画ごとにリーダーを立てようという話になったんです。 MVVの策定と一緒に行動指針・判断基準についても自分たちで言葉にしました。
新村さん
04 松山という土壌
人との距離が近いから、話が動き出す
ちょうどいい規模感だと思います。都会ほど会社の数が多いわけではないですし、経営者との距離も近い。だから直接話して、とんとんと話が進むことが多いんです。小泉製菓さんとのコラボも、石手寺の話も、その延長線上にあります。
大西さん
BtoBは距離が近い分、解像度の高いフィードバックがもらえます。ただBtoC、サウナ好きの一般層に向けては、想像以上に難しいと感じています。10人に声をかけると8人が「サウナ好き」、ではなくて。8人は「サウナがあれば入るけど、なくても別にいい」くらいの温度なんですよね。
大西さん
文化のベースがまだ整っていないんだと思います。先日、市役所の方と一緒にプライベートで県外の有名施設を回ったんですが、普段サウナに入るという発想がなかった方が、旅先で実際に体験してすごく感動していました。ただ、ないからこそ自分たちでつくる余地がある、という感覚の方が近いかもしれません。
野口さん

05 これから
何者でもないときから、「やりたい」と話してみる
サウナ遍路を、まずは愛媛の中でしっかり広げていきたいです。いずれは四国、そして県外にも。四国そのものを、サウナ旅の目的地にしていきたいですね。
新村さん
僕は、企業と学生をサウナでつなぐマッチングイベントをやりたいと思っています。裸の付き合いなら、社長も学生も、包み隠さずコミュニケーションできる場になると思うので。
大西さん
僕は、サウナ付きの宿泊施設やオフィスサウナを、自分たちでつくっていきたいです。なかなかいい物件がなくて苦戦していますが、そういう場所が増えれば、愛媛に来るきっかけになると思っています。松山にも面白い大人たちがいっぱいいるので、そういう場所やコミュニティを、もっと広げていきたいですね。
野口さん
都会や東京に出なくても、松山にも面白い大人たちはたくさんいるし、松山でもやりたいことを実現できると思っています。サウニークを手伝ってくれているメンバーは20代が多いんですけど、イベントや活動に参加して、すごく楽しんでくれているんです。仕事と家の往復だけではなく、大人が本気で遊んだり、挑戦したりできる場所やコミュニティとしてもっと広げていきたいですね。
野口さん
サウナ遍路や、これからつくる企画が定着して、「あれ、そういえばサウニークが始めたらしいよ」と言われるような状態が理想です。
サウニークの名前を前に出すというより、自分たちが始めたものが文化として地域に残っていく。そんな影響をつくっていきたいと思っています。
新村さん
とりあえず、やりたいならやったらいい。それに尽きますね。ただ、仲間探しは重要なので、何者でもない段階からコミュニティに顔を出しておくといいと思います。そうすると、一緒に面白いことができる人と出会えるかもしれないので。
新村さん
1年やってみて、こんなに認知してもらえるとも、こんなに関わってくれる人が増えるとも思っていませんでした。明確な売上目標もミッションも、最初はなかったんです。最初からすべてが固まっていなくても、まず動いてみることは大事だと思います。
大西さん